8型(ZN8/ZD8)用製品解説

2021年に8型が発売された当初、「液晶メーターか。針は無いのか。Indicatorとしてやれることは何も無い」と、さっさと白旗を上げた記憶があります。ところがふとしたきっかけで乗ることになったGR86のメーターを毎日見ながら「これは…いけるかも!」と心躍ったのが2023年のお話。そこから約1年をかけてこっそり進めていた開発作業が完了し、今こうして皆様にお披露目する時がやってきました。

 

「6型でIndicatorを装着し、日々の運転で魅了されていましたが8型に乗り換えることになりました。どうか8型用のIndicatorを開発してください!」といったリクエストを多数いただいていましたがようやくお応えできます。

 

以下、今回の8型用製品の詳細に関しての解説をご案内します。じっくりとお読みになり、あなたの愛車にピッタリな仕様をぜひ見つけてください。

①選べるふたつの質感

ステンレスの「輝き」の違い

 

「スタンダードエディション」と「プレミアム/リミテッドエディション」の違い、それは「表面仕上げ」の違いです。前者は半光沢仕上げで、圧延処理過程で生じる細かく美しい粒状凹凸をそのままにすることで光沢が抑えられています。「金属質感は欲しい、でも輝きすぎないほうがいい」という方に。

 

一方、後者は光沢ヘアライン仕上げで、Indicatorの6型用製品で絶大な支持をいただいたお馴染みの仕上げ。夜間のふとした街灯反射に心奪われることでしょう。

 

両者とも最高品質のステンレス(SUS304)を使用しています(簡単に劣化する安価なアルミではありません)。


②精緻な特殊加工

職人泣かせの微細加工

 

今回の製品の最大の特徴ともいえるこのメッシュ加工。直径0.3mmの穴を寸分違わず配置するという加工現場泣かせの仕様です。普段見慣れたアイコンたちも、こうやってメッシュ越しに見ると「ドット絵風」になって一気にノスタルジックな雰囲気になるのがとても不思議です。

 

この無数の穴、1つでも埋まってしまっている箇所がないか出荷前にすべてチェックします。とても骨が折れますが個性的な意匠を楽しんでもらうために私たちは労を惜しみません。

 

ちなみに0.3mmといってピンとこない場合は「一般的なシャーペンの芯が通らない」とイメージしてください。

 


③上部表示灯エリア

メッシュかパイロットランプか

 

ウインカーやハイビーム表示灯が並ぶ上部エリアには2つの仕様をご用意。スタンダードとプレミアムではメッシュ仕様を、リミテッドエディションではパイロットランプを採用しています。

 

パイロットランプ仕様を限定版としたのは、生産が極めて困難だからです。ステンレスのランプ土台を貼り、乾燥後にさらにレンズを貼るのですが全て手作業です。またレンズにクモりや傷がないか、裏側から光を照射して1つずつ検査をせねばなりません。海外ユーザーからの強いリクエストでラインナップしましたが、継続的な販売は不可能と判断し「限定生産」とすることとしました

 

※なおパイロットランプのレンズ部分は、より旧車風のレトロ感を醸し出す「カラーレンズ仕様」をオプションで選択可能です(標準はスモークレンズとなります)。


④イルミネーションのカラー変更

「理想のコクピット」のために

 

LEDの打ち替えをすることなくイルミ色を変更できるカラードレイヤーは、6型ユーザーにとってまさに神アイテムでした。そんなカラードレイヤーを当然8型でもご用意しております。

 

レッドは、各スイッチ類と統一感をもたせることができ、何よりも夜間は「やる気」にさせてくれる色です。ブルーは、いかにもメカニカルな風合いを醸し出して男心をくすぐります。そして6型用では設定しなかったグリーンは、AE86の頃の国産スポーツのインパネをイメージした調色で、古き良き時代の趣を現代に甦らせます。

 

LED打ち替えと違い純正色に戻すのも簡単ですので、ぜひ気分転換に色々お試しください。

 

※ブルーを装着した場合、本来赤く光る部分(レッドゾーンの目盛等)は互いに色を打ち消し合うので見づらくなりますので予めご了承ください。

 

※メイン液晶とサブ液晶のセパレートタイプなので、下の②の参考画像のようにお好みの配色に組み合わせることができます。ぜひ「あなただけのコクピット」に仕上げてください。


⑤クロームライナーベゼル

すべてはここから始まった

 

初めて8型メーターの実物を見た時に真っ先に気になった箇所がふたつ。1つめはシルバー色の安っぽい樹脂製ライナー。なんだかガンプラ風の謎の意匠が刻まれていて、いかにも子供だましだなあと失笑してしまいました(これを「かっこいい!」と思っている方や純正メーターのデザイナーさんごめんなさい。あくまで私の主観です)。2つ目は「ここに液晶がありますよ!」というのが丸わかりなあしらい(下の画像参照)。ここはもっと上手くごまかせなかったのかなあと感じたところです。今回の8型用製品開発は「この2点をどうにかしたい」という想いがスタートラインだったのです。

 

 

年末の発売に向けて準備中

 

現時点(2024年10月初頭)でこのクロームライナーベゼルは開発中で、画像は試作を用いています。詳細に関しては発売時にここの項目を更新しますのでいましばらくお待ちくださいませ。なお、画像のクロームだけでなく皆様ご期待の「レッド」も設定しようと思います。ブルーやブラッククロームも試したいな…(「それ絶対カッコいいじゃん!」とは身内の8型乗りの弁)。

 

※単品での販売予定ですが、当面はキットをご購入いただいた方への優先販売とさせていただく予定です。予めご了承ください。


⑥保安基準(車検)について

とても大切なお話

 

スタンダードエディションとプレミアムエディションの2種は「100%車検適合品」です。警告灯や表示灯のすべては純正と同じ(車体のアイコンだけは8型のシルエットに変更しています)なので車検時に一切の文句も言われません。問題はリミテッドエディションの「パイロットランプ」です。

 

ここ数年の車検の現場は、法規以前に検査員の裁量がモノを言うようで、弊社の法務部門が現行法を徹底的に精査して「不適合ではない」旨の資料を準備しておりますが、それを提出しても「NG」となるケースがあります。現役の検査員の話によると「昔の車ならともかく、現行車種でパイロットランプのアフターパーツはグレーなんです。完全に検査員の裁量に拠ります。ほぼほぼ合格するけれども、しない場合もある」とのこと。

 

Indicatorとしては、もちろん車検時に上記資料をご提供することは可能ですが、100%適合とは言い切れない以上、再検査などの二度手間を省く意味でも「車検時だけ、上部パネルだけ純正に戻す」ことを推奨します。とても心苦しいのですが、日々のドライビングを演出するパイロットランプの魅力とトレードオフであることをどうかご理解ください(メインパネルと上部パネルは分割方式ですので上部パネルだけを純正へ復帰可能です)。

 

ちなみに、車検などの制約がない海外には今後できる限りパイロットランプ仕様の販売を続けていく予定です。日本国内向けはある段階で販売終了としますので予めご了承ください(日本のクルマなのに!です)。

 


⑦装着に関して

「針がない」ことの最大のメリット

 

6型用では針を外す工程があることから、ほんのちょっとの勇気と度胸を必要としました。しかし針のない8型ではそんな心配は無用です。車からメーターを外しさえすればあとは動画解説QRコード付きの説明書に従ってサクサクと作業するだけです。

 

当初デジタル液晶メーターに対して好意的でなかった私も、この部分に気づいた時「針が無い!なんとまぁユーザー寄りの配慮なんだ!」とわけのわからぬ論理で狂喜したものです。アナログメーターの趣を失った代わりに、それを逆手にとってポジティブに捉えてしまう。人生の考え方と同じですね。

 


透明カバーは要らない!?

 

8型乗りの方であればご存知でしょうが、メーターを覆うカバーは完全な透明ではなくスモークです。これを通して見えるステンレスパネルは、光の加減によっては6型用の「ブラックエディション」のようにも見えます。逆に言えば、この解説ページに掲載の写真のような「シルバー」の輝きをお望みの場合はやや物足りなく感じるかもしれません。

 

そもそも、こうしたメーターを覆うカバーは無用な反射を抑える効果に加えて「埃の侵入を防ぐ」という効果もあります。しかし、針のあるメーターならまだしも、液晶メーターに埃除けは果たして必要なのか?という疑問もあります。

 

付属の説明書にも記載しますが、このスモークのカバーを着けるか否かはオーナーさんそれぞれがお好みで決めていただいて良いのではないかと思います。

 

※このように任意でパネルの明度を調節できるので、6型用のようなブラックエディションは8型向けに設定する予定は今のところございません。


⑧おわりに

偽らざる本音

 

SNSでも発信しましたが、8型のメーターは純正状態でもじゅうぶんカッコいい。気に入っているなら無理に替える必要はないと思います。押し売りはしません。ただ、⑤の項目で述べたような、私が感じた不満点に共感くださる方はぜひ今回の製品をご検討ください。きっとご満足いただけると思います。

 

また⑥の車検に関して述べた内容も、昔なら「車検の時だけ戻せばいいんだよね。車のカスタムなんてそんなもんでしょ。どうってことないよ」という方がほとんどで、各メーカーさんもそれを暗黙の了解として製品をリリースしていました。しかし時代は変わり、「いやいや、僕は保安基準に完全に適合するパーツだけでカスタムするのだ!」という方が一定数いらっしゃるのも事実。この場合、残念ですがパイロットランプは諦めてもらうしかありません。本当に心苦しいです。

 

 


最後までお読みいただきありがとうございました。最後に、こんなところで小声で言いますが昨今の原材料費・加工費・人件費高騰はシャレになりません。うちみたいな尖った製品を作り続ける会社が、果たして数年後にどのくらい残っているか。当サイトのトップページ後半でも書いておりますが、いつまでこの事業をやっていられるかわかりません(少なくとも今後の値上げは大いにあり得ます)。いきなり販売終了となってしまう可能性も全くのゼロではないのでその点のみ予めご了承ください。

 

みなさまのGR86/BRZライフが、より楽しくなりますように

 

Indicator代表・ハタナカマコト